
妖狐族最長老の孫娘、琉宇羅(ルウラ)。その婚約者の羅厘(ラリン)。
この話は守紅(スク)が奈留(ナイル)に引き取られて間もない話…―――。
奈留「――着いた。ここよ。」
奈留の手に引かれ、守紅はログハウスのような家まで来た。上には"R-S"と書かれていた。
守紅「アールエス…?」
奈留「R-S、正式名称はRED-SHIELD。"赤"の子だけを保護しているの…。」
"赤の子"を産んだ親は、災いが訪れると言って森深くに捨てることが多い。
奈留「設立の案を出したのは、あなたと同じ年の男の子。しかも赤じゃ無いのよ、その子。」
守紅は驚嘆した。赤のことを保護せんとする普通の子がいる…。それだけで守紅は嬉しかった。
R-Sから赤ではない、普通の子が出てきた。
羅厘「奈留様、お久しぶりです。」
奈留は妖狐族の神・魅夢魔(ミムマ)の預言者。故に、人間界で言う巫子の存在だ。
奈留「久しぶり、羅厘。この子、お願いできるかしら?」
羅厘「お願いも何も、ここはそういうところですから。」
羅厘は赤が好きでもなければ嫌いでもなかった。赤の現状を、婚約者の琉宇羅の祖父である最長老に聞き、哀れに思った羅厘は早急に設立を申し出たのだ。
羅厘は守紅を眺めた。
守紅「なんだよ…。」
羅厘は守紅の前まで来て、質問した。
羅厘「名前は?」
守紅「……守紅。」
羅厘「俺は羅厘。よろしく。」
それからの二人は、同い年ということもあってか、仲良くなっていった。
親友になり嬉しかったのか、羅厘は琉宇羅に自慢していた。赤だということを敢えて告げずに。
琉宇羅「じゃあさ羅厘、今度その子紹介してよ!」
羅厘「え…?」
琉宇羅「だって、羅厘の親友でしょ?どんな子か興味あるじゃない?……あ。まさか…。」
琉宇羅は考え込む。嫌な予感がした。
恐る恐るどうしたのかと聞く。
琉宇羅「赤じゃあ…無いわよね。」
先程の思いが的中した。早鐘の心臓を押さえる。
羅厘「な…んで?」
琉宇羅「だって赤のセンターにしょっちゅう行ってるじゃない。」
羅厘は躊躇った。
羅厘「…違…うよ。赤じゃ…ない…。」
琉宇羅「そうよね☆」
琉宇羅は小さいころ、発狂した赤に両親を惨殺された。それ以来、赤を見ては忌み嫌っている。
ばれなきゃいいんだ、ばれなきゃ…。
甘い考えは後に悲惨な結末を向かえる…――。
羅厘「よーし、今から俺と守紅が怪獣だ!みんな、逃げろよ~ガオー!!!」
子供「きゃー(>▽<*)」
子供達は嬉しくてなのか笑いながら逃げ回っている。これまで食べ物を獲得するのが一日の精一杯の目標だった彼等にはどんな些細な遊びでも嬉しいのだ。
昼休み、守紅と羅厘は草原にいた。守紅は両手を頭の後ろで組み、寝転がっており、足を組んでいる。羅厘は大の字に寝転がっている。
守紅「あいつら…可愛いな。」
羅厘「あいつら…?」
守紅「センターのやつら。愛くるしいというか…。」
羅厘「この森であいつらは生きるか死ぬかの戦いをしてたんだよな…。少なくとも俺より強靭な精神を持ってるさ(笑)」
守紅「だろうな。」
話終えたとき背後で枯れ木が折れる音がした。
羅厘「誰かいるのか?……!!」
羅厘は振り返り驚愕した。守紅も振り替える。視線の先には女が一人。センターのではなく、彼の親友の婚約者の姿。
羅厘「琉…宇羅…?」
彼女は両手で口を覆い、目は潤んでいた。一つ瞬きをすれば溜っているものが頬を伝いそうだ。
守紅「羅厘…?」
琉宇羅「……き…。」
羅厘「え…?」
琉宇羅は瞬きをし、溜っていたものがダムが決壊したように流れだした。血相をかえ、叫ぶ。
琉宇羅「うそつき!!!」
羅厘の顔から血の気が引いた。守紅は何のことなのかさっぱり分からないでいる。琉宇羅は守紅を指差しながら言う。
琉宇羅「どんな子かと思ってこっそり来てみれば…。赤じゃないよって…あの言葉…嘘なんだ……羅厘の嘘つき!!!」
彼女は吐き捨てるようにそういうとその場から去っていった。羅厘は彼女の名を呼ぶが一度も振りかえることなく、彼の視界から消えた。
守紅「羅厘…なんだよ今の…」
羅厘は黙ったままだ。
守紅「なんだって聞いてんだよ!!!俺のこと、赤じゃないって話したのか!?」
羅厘は黙って頷く。
守紅「…そんな気の使い方いらねえよ。」
嫌われるならそれでもいいんだからよ。
そう言い、羅厘をじっと見ている。羅厘は守紅に全てを打ち明けようと思った。
羅厘「あいつに…"友達は赤なんだ"って言えねえよ…。」
守紅「………なんで。」
羅厘「酷すぎる…。」
羅厘はそういうと琉宇羅を追い掛けた―――。
琉宇羅「なんで…話してくれなかったんだろぅ…。」
琉宇羅は木の根本にもたれて立っている。
琉宇羅「…バカ。」
羅厘「だーれがバカだって…?」
琉宇羅「わぁっ!!」
羅厘は木の後ろから現れた。息が切れている。
羅厘「あのなぁ…誤解のないように言っておくが、守」
琉宇羅「何で!!!…何でウソついたのよ…。」
羅厘の言葉を遮る。琉宇羅はそのままうつ向いた。
琉宇羅「何で本当のこと言ってくれなかったの…?」
羅厘「それはお前が」
琉宇羅「反対すると思ったから…?」
頷く羅厘。
琉宇羅「正直に言ってくれたら考えたのに…。」
予想だにしない言葉に大変驚いている。
琉宇羅「だって、羅厘が決めて友達になったんでしょ?だったらあたしがあれこれ言うもんじゃないし…。」
正論である。
羅厘「琉宇羅…。」
琉宇羅「だから…いいよ。」
羅厘「え?」
琉宇羅「あの子と友達になるの。」
羅厘「…まじ?」
琉宇羅「…前言撤回しようか?」
羅厘「いや…。ありがとな、琉宇羅!!!」
琉宇羅「…対赤の対策を立てなくちゃ。」
ありゃ?
羅厘「守紅ー!!!」
守紅「…羅厘。」
羅厘「琉宇羅が…許してくれた。」
守紅「…へ。」
羅厘「だぁかぁらぁ;;;琉宇羅がだな―――。」
その後は仲良くなりましたとさvv